開業届とは?作成方法や提出期限について解説

この記事ではこんな悩みを解決できます■ 事業を始めたけど開業届は必要?

■ 開業届を作成するためには何が必要?

■ 開業届の提出期限は?

■ 開業届の具体的な作成方法・提出方法は?
 
けーにゃん
開業届のことを詳しく解説するよ!

事業を始めるにあたり、税務署に提出する書類の中に開業届があります。

開業届はどうやって作成するの?どんなメリットがあるの?

こんな疑問もあるとおもいます。

この記事では、専門家の私が開業届の作成方法などを具体的に解説します。


この記事の結論■ 開業届は提出しなくても罰則はないが、青色申告特別控除をうけるためには提出が必要

■ 開業届の作成にはマイナンバーカード・住所・開業日が分かる資料が必要

■ 開業届は開業日から一ヶ月以内の提出が必要

■ 提出方法は税務署に持参or郵送

開業届を提出するメリット


青色申告特別控除を受けられる

青色申告特別控除とは、税務署の定める方法で正しく記帳を行えば、節税メリットを受けることができる制度です。

青色申告特別控除を利用することで次の金額を売上から差し引くことができます。

■ 10万円

■ 55万円

■ 65万円

屋号で口座開設ができる

銀行によっては個人名に屋号を付け加えた口座を開設することができます。

その際、銀行から開業届の控えを求められることが多いです。

開業届を提出していないと屋号で口座開設することができない可能性があります。

クライアントの中には個人名の口座に不安を抱く人もいます。

屋号が入っている口座を取引に使用することで、そうした人達に安心感を与えることができます。

事業用のクレジットカードを作れる

個人事業主は自営業に該当します。

銀行は自営業は安定している職種とはみていないため、クレジットカードの審査に通りにくくなっています。

そのため、事業を行っていることの証明として開業届の控えを求められることがあります。

開業届を提出するデメリット


記帳の義務が発生

開業届を出すと、日々の取引を帳簿に記載したうえで一定期間帳簿を保存しないといけません。

記帳や帳簿の保存など、手間が発生します。

社会保険の扶養から外れる可能性がある

開業届を出して個人事業主となった場合、配偶者の扶養から外れる可能性があります。

ただし、具体的にどういう場合に扶養から外れるかは、加入している社会保険によって変わります。

開業届を出す前にきちんとルールの確認をしておきましょう。

失業保険の給付の対象から外れる可能性がある

失業保険は「働ける状態」かつ「仕事を探している」状態の時の生活費を補うものです。

開業届を出すと個人事業主として仕事をしているとみなされるので失業保険の給付の対象とならない可能性が高いです。

開業届を提出した後に会社を辞める場合は十分注意しましょう。

開業届の作成に必要な書類

開業届は税務署の窓口ですぐに受け取ることができます。

また、国税庁のHPからも取得することができます。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続

記入にあたって必要となる書類は次の通りです。

■ マイナンバーカード

■ 事業所の住所が分かる書類

■ 開業日が分かる書類

開業届は開業日から1ヶ月以内に提出

開業届を出すのは、開業日から1ヶ月以内が原則となっています。

開業日の決め方については、特にルールはありませんので、自分の好きな日付を設定することが可能です。

 
けーにゃん
未来の日付はだめだよ!

開業届を提出するのが1ヶ月以上先になったとしても、特に罰則はありません。

ただし、開業届は青色申告特別控除をうけるために必要な書類ですので1カ月以内には提出しましょう。

開業届の作成方法

個人事業の開業・廃業等届出書

①納税地の税務署名、提出日

開業届を提出する所轄の税務署の名称と、提出する日付を記入します。

②納税地、上記以外の住所地・事業所等

「住所地」「居所地」「事業所等」のいずれかを選択し、自宅・事業所などの住所を記入します。

  • 住所地・・自宅を事務所として使う場合に選びます。
  • 事業所等・・自宅とは別に事務所を持っている場合に選びます。
  • 居所地・・海外に住んでいて、活動拠点が日本にある場合に選びます。

「上記以外の住所地・事業所等」の欄は、次のような場合に記入します。

  • 納税地は自宅で事業所が別にある場合
  • 納税地を自宅でなく事業所にする場合

自宅と事業所を兼ねている場合、「上記以外の住所地・事業所等」には何も記入する必要はありません。

③氏名、生年月日

フルネームで氏名・生年月日を記入します。

印鑑は個人印でも、屋号印でも大丈夫です。

④個人番号

マイナンバーカード、または通知カードに記載されているマイナンバーを記入します。

⑤職業

職業の欄には特別な決まりはなく、客観的に分かる名称であれば何を書いても大丈夫です。

⑥屋号

屋号がなければ空欄のままで大丈夫です。

⑦届出の区分

新規開業の場合は「開業」にのみ○をつけ、その他は空欄となります。

事業を引き継いだ場合は住所、氏名のみを記入しましょう。

⑧所得の種類

不動産による所得、山林による所得以外は事業所得になります。

⑨開業・廃業等日

開業日は提出日から1ヵ月以内になりますが、開業日をいつにするかは厳しいルールはありません。

例えば、お店を経営する場合、開店日にすると良いでしょう。

⑩事業所等を新増設、移転、廃止した場合、廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

新規開業の場合は記入不要です。

⑪開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告や消費税に関する書類を提出する場合はチェックを入れましょう。

⑫事業の概要

職業欄に記入した内容について、より具体的に記載します。

例えば職業欄が「コンサル業」なら、「事業の概要」は何をするか分かるような表記にしましょう。

⑬給与等の支払いの状況

家族(専従者)や、家族以外の従業員(使用人)を雇用する予定がある場合に次の内容を記入します。

■ 専従者と使用人の雇用する人数

■ 日給・月給・ボーナスなど給与の支払い方法

■ 税額の有無・・給与の支払いがある場合は基本的に「有」

⑭源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

源泉所得税は原則として徴収した日の翌月10日が納期です。

給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、特例として申請をすれば年2回にまとめて納めることができます。

申請書を提出する場合は「有」にチェックします。

⑮給与支払を開始する年月日

従業員に対して、給与を支払う場合にのみ記入します。

すでに支払っている場合はその日付を記入します。

まだの場合は支払いを開始する予定日を記入します。

開業届の提出方法

作成したら住所地を管轄する税務署に持参・郵送の方法で提出します。

郵送の場合、「本人確認書類(写)添付台紙」にマイナンバーと身元を確認するための書類を添付します。

番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い

青色申告承認申請書と一緒に提出しよう

青色申告特別控除をうけるためには「青色申告承認申請書」の提出も必要になります。

そのため、開業届と同時に提出するのがおすすめです。

青色申告承認申請書の作成方法などは別記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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まとめ


この記事の結論■ 開業届は提出しなくても罰則はないが、青色申告特別控除をうけるためには提出が必要

■ 開業届の作成にはマイナンバーカード・住所・開業日が分かる資料が必要

■ 開業届は開業日から一ヶ月以内の提出が必要

■ 提出方法は税務署に持参or郵送

開業届は青色申告特別控除を受けるために必要な書類です。

作成は難しくありませんが提出期限もありますので、しっかり準備して期限までに提出するようにしましょう。