クラウド会計を使いこなす!初心者向け簿記の基礎知識

この記事ではこんな悩みを解決できます■ 事業を始めたので簿記の基本を知りたい!

■ 簿記を覚えてクラウド会計を使いこなしたい!
 
けーにゃん
専門家の僕が簿記の基本を解説するよ!

事業を始めたけれど、簿記のことが分からなくて困っている人も多いと思います。

しかし、実際に事業をする上で、簿記の知識があるととても便利です。

簿記の知識があると、事業を客観的に分析したりクラウド会計を不自由なく使いこなせたりします。

でも、簿記の知識をつけるのには時間が掛かるのではないかという疑問もあるかとおもいます。

確かに深い知識を得るためには時間が掛かりますが、基礎知識だけであればそれほど時間は掛かりません。

この記事では、専門家の私が簿記の基礎知識を解説します。

簿記の仕組み


簿記とは経済活動を数字で集計する仕組み

簿記とは「事業の活動」を「数字」で集計・整理する仕組みのことです。

事業の活動・取引は業種に関係なく「5つの引き出し」に整理されます。

<5つの引き出し>

事業に関連する形のあるもの、形のないもの、借りているもの、その他起こるすべての経済的な出来事を「5つの引き出し」のいずれかに整理します。

5つの引き出しの構成要素


  1. 資産・・経済価値のあるプラスの財産
  2. 負債・・債務などのマイナスの財産
  3. 資本・・元手と利益の蓄積
  4. 収益・・副業で得たお金
  5. 費用・・もうけを得るために使ったコスト

「5つの引き出し」の右側は「お金の集め方」を表します。

「5つの引き出し」の左側は「お金の使い方」を表します。

そして、集めたお金と使っているお金は、いつの時点であっても必ず同額になります。

そのため、「5つの引き出し」の高さは必ず一致します。

貸借対照表と損益計算書とは?

会計の世界では財務諸表と呼ばれるものがあり、次の書類で構成されます。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • その他(株主資本等変動計算書)

このうち、個人事業で主に使うのは、貸借対照表と損益計算書になります。

  • 貸借対照表・・年度末時点でいくらの財産があるのかを示す書類
  • 損益計算書・・1年間でどれだけのもうけがでたのかを示す書類


 
けーにゃん
貸借対照表は「財産」、損益計算書は「もうけ」をあらわすよ!

会計期間とは?

会社は通常1年間を「会計期間」とし、その1年間の利益を計算します。

会計期間の始まりを「期首」、終わりを「期末」もしくは「決算」などといいます。

会社は会計期間を自由に決めることができます。

個人は1~12月と法律で決まっています。


勘定科目とは?

勘定科目とは、取引内容をわかりやすく分類するために使われる見出しのことです。

勘定科目は、日々の帳簿付け(仕訳)や分析のために使われるものです。

そのため、取引内容に応じてある程度は自由に設定することができます。

補助科目とは勘定科目の内訳

補助科目は勘定科目の内訳を表す科目です。

例えば、「普通預金」の補助科目には口座名を設定したり、「水道光熱費」の補助科目には「ガス代」「水道代」「電気代」のような設定をします。

補助科目を設定することで、詳細に取引の内容を把握することができます。

決算書科目とは勘定科目の集約

決算書科目とは勘定科目を集約したものです。

確定申告する際に添付する資料は見やすさも重要ですので細かい勘定科目は集約します。

<決算書科目と勘定科目の関係>

 
けーにゃん
決算書科目は勘定科目を集約したイメージだよ!

仕訳について


仕訳のルール

仕訳とはお金が動く「活動」を一定のルールにしたがって記録する技術です。

「5つの引き出し」の中身(勘定科目)が動く活動を行った場合、「仕訳」により集計・整理が行われます。

■ ルール①:増加・発生したときは「5つの引き出し」のなかでプラスする

■ ルール②:減少・取消したときは「5つの引き出し」のなかからマイナスする

■ ルール③:仕訳の左右の金額は必ず一致する

■ ルール④:仕訳後の「5つの引き出し」の左右の合計金額は必ず一致する

複式簿記とは?

帳簿はどのような取引が行われたかが、ひと目で分かるようにしておく必要があります。

複式簿記では、勘定科目を左右に分けて取引の内容を記載します。

※複式簿記とは取引の流れを2つの側面からみる方法です。

この時、帳簿の左側を「借方」、右側を「貸方」といいます。

資産に関係する活動

資産とは事業のために保有している経済価値のある財産です。


資産の種類勘定科目
流動資産現金及び預金、受取手形、売掛金、有価証券、棚卸資産(商品、製品、仕掛品、原材料など)、未収金、前渡金、前払費用など
固定資産有形固定資産(建物、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品、土地など)、無形固定資産(特許権、ソフトウェアなど)、投資その他の資産(投資有価証券、出資金、長期貸付金、長期前払費用など)
繰延資産創立費、開業費など

現金はもちろん、現金以外のものであっても、売却・回収することで資金化できるものは資産になります。

固定資産には減価償却という経費計上の方法があります。

減価償却については別記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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■ 仕訳の例

事業で使用するパソコン40万円を購入した時の仕訳は次の通りです。


借方貸方
(工具器具備品)400,000(現金及び預金)400,000

※ 借方の勘定科目である工具器具備品(パソコン)が40万円増加すると共に、借方の勘定科目である現金及び預金が40万円減少しています。

現金及び預金は借方の勘定科目なので、貸方に記載することで減少を表します。

負債に関係する活動

負債とは事業をする上で負っている債務です。


負債の種類勘定科目
流動負債支払手形、買掛金、短期借入金、未払金、未払費用、未払法人税等、前受金、預り金など
固定負債長期借入金など

支払や返済をすることで、資金が流出するものは負債になります。

■ 仕訳の例

銀行から10万円を借り入れた時の仕訳は次の通りです。


借方貸方
(現金及び預金)100,000(短期借入金)100,000

※借方の勘定科目である現金及び預金が10万円増加すると共に、貸方の勘定科目である短期借入金が10万円増加しています。

資本に関係する活動

資本とは資産(プラスの財産)から負債(マイナスの財産)を差し引いた純額の財産です。

事業を開始した際の「元手」や儲けの蓄積が「資本」になります。


資本の種類勘定科目
元手元入金
儲けの蓄積繰越利益剰余金

■ 仕訳の例

元手10万円で事業をスタートした時の仕訳は次の通りです。


借方貸方
(現金及び預金)100,000(元入金)100,000

※借方の勘定科目である現金及び預金が10万円増加すると共に、貸方の勘定科目である元入金が10万円増加しています。

収益に関係する活動

事業で得たお金を「収益」といいます。


収益の種類勘定科目
売上高売上高、売上値引・返品、家事消費、雑収入

■ 仕訳の例

例えば、物を販売して1万円の収入を得た時の仕訳は次の通りです。


借方貸方
(現金及び預金)10,000(売上高)10,000

※借方の勘定科目である現金及び預金が1万円増加すると共に、貸方の勘定科目である収益が1万円増加しています。

費用に関係する活動

事業で使ったお金を「費用」といいます。


費用の種類勘定科目
仕入仕入高、仕入返品
経費通信費、広告宣伝費、消耗品費、減価償却費

■ 仕訳の例

事業で使うインターネット代を5千円支払った時の仕訳は次の通りです。


借方貸方
(通信費)5,000(現金及び預金)5,000

※借方の勘定科目である通信費が5千円増加すると共に、借方の勘定科目である現金及び預金が5千円減少しています。

家事関連費の按分

プライベートと事業で共通の費用がある場合は、家事関連費の按分といって一部を事業の経費にすることができます。

例えば、自宅で事業をしているのであれば、インターネット代や水道光熱費、家賃などです。

家事関連費の按分については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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発生主義とは?

簿記の考え方に「発生主義」というものがあります。

発生主義はお金の流れに関係なく、収入・経費として認識すべき事実が発生したら認識する考え方です。

例えば、今月発生分のインターネット代5千円を来月に支払う場合は次のようになります。

借方貸方
(通信費)5,000 (未払金)5,000

このように未払であっても、収入・経費として発生した月に認識します。

そして、実際に支払った時に未払金を取り崩します。

借方貸方
(未払金)5,000 (現金及び預金)5,000

プライベートのお金で経費を支払ったら?

個人事業主の勘定科目の中に、事業主借・事業主貸という見慣れない科目があります。

これは事業主勘定といい、次のような場合に使用します。

  • 事業主借・・事業で使っている通帳にプライベート用のお金を入れた
  • 事業主貸・・事業で使っている通帳からプライベート用のお金を出した

事業の仕訳をするときに最も気を付けるべきことは、事業とプライベートのお金を明確に区分することです。

例えば、事業と関係ない夕飯の買い物が事業の経費として記帳されていたら、事業に関係しない経費が売上から差し引かれてしまいます。

そうすると、儲け(売上ー経費)が実際より少なく計算されてしまうことになります。

その結果、正しい税金の計算ができなくなってしまいます。

しかし、急な出費で事業用の口座からお金を引き出すこともあるとおもいます。

こんなときのために、事業とプライベートのお金を明確に区別するため、事業主勘定を使用します。

【具体例】商品の仕入から売上までの仕訳

ここまで紹介した知識を使って、商品の仕入から売上までの簡単な仕訳を紹介します。

現金10万円を元手に事業を開始した。

<仕訳>

借方貸方
(現金及び預金)100,000(元入金)100,000

<仕訳後の引き出し>

商品2万円を仕入れ、代金の半分を現金で支払い、残額を翌月払いの条件とした。

<仕訳>

借方貸方
(商品)20,000(現金及び預金)10,000
(買掛金)10,000

<仕訳後の引き出し>

全商品を4万円で販売し、代金の半分を現金で回収し、残額は翌月回収の条件とした。

<仕訳>

借方貸方
(現金及び預金)20,000(売上高)40,000
(売掛金)20,000
(売上原価)20,000 (商品)20,000

<仕訳後の引き出し>

上の表を貸借対照表、下の表を損益計算書といいます。

5つの引き出しを分解すると、同じ金額だけ左右の金額が一致していない部分が利益になります。

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けーにゃん
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けーにゃん
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