インターネットが発達した現代では、自宅、事務所、カフェ、屋外など、場所を選ばず事業をおこなうことができるようになりました。
事務所や店舗を借りて事業をしている場合は、その家賃はもちろん経費にすることができます。
では、自宅で事業をしている場合はどうでしょうか。
実は自宅で事業をしている場合でも、家賃や水道光熱費を経費にできる場合があります。
経費にできる金額が少しでも増えれば、節税に繋がります。
この記事では、家事関連費の概要と具体的な按分方法を解説します。
家事関連費とは?
家事関連費とはプライベートと事業の両方で使っていて、切り離せないお金のことです。
具体的には、次のようなものが該当します。
■ 家賃
■ 水道光熱費■ インターネット料金■ 携帯電話料金■ ガソリン代家事関連費のメリット
家事関連費は合理的な基準で按分することにより、一部を事業の経費とすることができます。
経費とすることができるので、節税につながることが大きなメリットです。
※按分とは、家事関連費をプライベート用と事業用に区別することです。
家事関連費の按分方法

賃貸住宅を事務所として使用した場合
借りている住宅を事務所として使用した場合、次の家事関連費の一部を経費に計上することができます。
■ 家賃
■ 共益費■ 水道光熱費基準については、残念ながら明確な決まりはありません。
税務署に按分の理由を聞かれたとき「合理的に説明できるかどうか」がポイントになります。
例えば、事業で使っているのが全体の床面積の50%であれば、家賃の5割を必要経費として計上します。
持ち家を事務所として使用した場合
持ち家の場合、住宅ローンの元金返済額は経費にすることはできません。
その代わり、次の家事関連費の一部を経費に計上することができます。
■ 水道光熱費
■ 減価償却費■ 住宅ローンの金利部分■ 火災保険料■ 固定資産税■ 管理費・修繕積立金(マンションの場合)基準については、こちらも明確な決まりはありません。
賃貸住宅同様に税務署に按分の理由を聞かれたとき「合理的に説明できるかどうか」がポイントになります。
事務所を借りた場合
副業の規模が大きくなってきたら、自宅とは別に事務所を借りる場合もあるとおもいます。
この場合、発生した支出はすべて経費とすることができます。
具体的な経費は次の通りです。
■ 家賃
■ 共益費■ 仲介手数料敷金は経費になるのか?
敷金は大家さんに預けておくお金で、賃貸契約が終了すれば戻ってきます。
このように、敷金は他人にお金を預けているにすぎないので、基本的には経費にすることはできません。
礼金は経費になるのか?
礼金は敷金とは異なり、大家さんにお礼として支払うもので、賃貸契約が終了しても返還されません。
そのため、礼金はその払った金額の全額を経費とすることができます。
ただし、経費にできるタイミングは金額によって異なります。
■ 20万円未満・・一括で経費
■ 20万円以上・・借りている期間で均等償却費目ごとの按分の具体例
ここからは費目ごとの按分方法の具体例を解説します。
具体的な按分方法は次の通りです。
■ 家賃・・部屋数で按分、事業で使用している床面積の割合
■ 水道光熱費・・使用時間、使用回数、コンセント数■ 電話代・・使用時間■ ガソリン代・・走行距離家賃
家賃は部屋数や、床面積の割合で按分する方法があります。
ケース | 経費 |
3部屋ある部屋の内、1部屋を完全に事業で使用している。 | 家賃の3分の1 |
床面積の50%で週の半分の時間を事業で使用している。 | 家賃の25%(50%×50%) |
電気料金
電気代は使用時間、使用回数、コンセントの数などで按分する方法があります。
ケース | 経費 |
コンセントが全部で10個あり、うち5個を使用している。 1週間(168時間)の内、42時間(25%)を事業で使用している。 | 電気代の12.5%(50%×25%) |
ガス代・水道料金
ガス代や水道料金については、電気料金と同じような按分率では基本的に認められません。
例えば、水道料金として考えられるのは、 業務中のお手洗いぐらいです。
一日中仕事をしているわけではないので、 常識的に経費と考えられる水道代は数%程度です。
ガス代や水道料金は、全く経費として認められなかったという事例もありますので注意が必要です。
電話代
電話代は使った時間をメモしておいて、使用時間分を経費として計上します。
ガソリン代
走行距離をメモしておいて、走行距離分を経費として計上します。
青色申告者は家事関連費の按分が認められやすい
所得税法においては、経費に算入できる条件が定められていて、青色申告者が優遇されています。
- 白色申告・・その経費の主たる部分が「事業の遂行上必要」であり、かつ、その「必要である部分を明確にできる」場合
- 青色申告・・「業務の遂行上必要」な部分を明らかにできる場合
過去の判例では「事業に必要な部分を明確に区分」できているかどうかが判断基準とされました。
青色申告については別記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
この記事ではこんな悩みを解決できます■ 青色申告特別控除はお得なの?■ 青色申告特別控除はどうやったら受けられるの?青色申告特別控除を受けたいんだけど、実際お得なの?具体的にはどうやって受けられるの?この記事では専門家の[…]
まとめ
家事関連費は合理的な基準で按分することにより事業の経費にすることができます。
事業の経費にすることで、節税にもつながりますので積極的に活用しましょう。